リフォームローンと住宅ローンの違いとは?融資の進め方・審査について

住宅の経年劣化・介護・子育てなど、自宅をリフォームするときに悩みの種となりやすいのが費用です。
リフォームには、数十万で済むものから数百万、数千万とかかるものがあります。
そんなときに、利用を検討するのがリフォームローン(リノベーションローン)ですよね。
しかしリフォームローンとは?住宅ローンとは違うの?と、わからないことも多いと思います。
そこで今回の記事では、リフォームローンについて、住宅ローンとの違いや審査、借入までの流れを解説します。
また、融資が難しいと言われる高齢者がリフォームローンを借りる方法についても紹介しているのでご確認ください。
目次
リフォームローンと住宅ローンの違い

「リフォームローンと住宅ローンの違いは何?」と疑問を抱く人は少なくないでしょう。
リフォームローンは、住宅の改修や修繕費用を借りるためのローンです。
一方、住宅ローンは、住宅の購入や建て替え、リフォーム費用も含む場合があります。
どちらも住宅に関わる融資であり、目的・条件・金利・審査などに違いがあるので、以下をご確認ください。
リフォームローン | 住宅ローン | |
目的 | 改修・修繕 | 購入・建替え・リフォーム |
借入金額の上限 | 500万円〜1500万円程度 | 500万円〜1億円程度 |
借入可能な期間 | 15年まで | 35年まで |
金利(変動型)※半年ごとに見直し | 1.3%~4.0%程度 | 0.3%台~0.7%台前後 |
金利(固定型)※半年ごとに見直し | 1.5%~4.8%程度 | 1.5%~2.8%程度 |
担保 | 無担保型・有担保型 | 自宅担保 |
団体信用生命保険の加入 | 加入・非加入※商品によって異なる | 加入 |
審査期間 | 仮審査:数日本審査:1~2週間 | 仮審査:1日〜1週間本審査:1〜3週間 |
リフォームローンとは
リフォームローンとは、住宅の増改築・修繕・設備交換などの工事費用を借り入れるための融資のことです。
具体的には、間取り変更・部屋の追加・外壁塗装・屋根修理・水回り設備の交換・手すりの設置・段差の解消・耐震工事など。
また、リフォームローンには担保設定が不要な「無担保型」と、リフォームする物件を担保に入れる「有担保型」の2種類があります。
担保については、後述詳細を記載しているのでご確認ください。
住宅ローンとは
住宅ローンとは、新築・中古のマンションや戸建てを購入したり、一戸建てを建築したり
、土地を購入するときに金融機関からお金を借りる融資のことです。
ただし、物件によっては借り入れ条件や利用条件が異なり、たとえば中古一戸建ての場合、建物の耐久性が考慮されます。
場合によっては、借入期間が短く制限されることもあります。
また、店舗付き住宅の場合は面積に制限がかけられることが多いです。
どんな住宅でも住宅ローンは利用できますが、条件があることをお忘れなく!
また、リフォーム資金を住宅ローンに含むことができる場合もあります。
住宅ローンであれば、数千万円の融資を受けられたり、借入期間が長かったりするので住宅全体のリフォームをする際は、住宅ローンの利用も可能な金融機関を検討しましょう。
リフォームローンの融資審査はゆるい?厳しい?
リフォームローンは、住宅ローンと比べて「審査がゆるい」と言われています。
とくに、無担保型のリフォームローンは、担保の審査がありません。
抵当権設定の手続きや費用がかからず、審査も早く進むのが特徴です。
ただし、借入額や返済期間、金利などに制約があることも少なくないため、事前に金融機関の情報を比較検討することが重要です。
「無担保型」と「有担保型」の違い

リフォームローンには、「無担保型」と「有担保型」がありますが何が違うのでしょうか?
無担保型と有担保型の違いは、融資を受ける際に担保が必要かどうかです。
リフォームローン審査がゆるい、と言われる理由にあるように、無担保型は担保なしで融資を受けられるため、手続きが簡単であり、早く審査が完了します。
一方、有担保型は資産を担保にローンを組むため、審査には時間がかかりますが融資額が大きくなったり、金利が低くなったりしやすいです。
「無担保型」と「有担保型」の違いを比較してみましょう。
無担保型 | 有担保型 | |
借入金額の上限 | 500万円〜1000万円 | 1000万円~1億円 |
借入可能な期間 | 10年〜15年 | 30年〜35年 |
金利(変動型)※半年ごとに見直し | 1.3~4.0% | 0.29~5.0% |
金利(固定型)※半年ごとに見直し | 1.5~4.8% | 0.6~6.0% |
無担保型の借入金額は、個人の年収や返済能力、信用情報などを基に審査し、確定します。
また、担保がない代わりに有担保型よりも金利が高くなる傾向にあります。
金融機関を比較検討する際は、金利以外にも保証料・事務手数料・火災保険料・抵当権設定費用などを確認しておきましょう。
他にも審査基準や必要書類なども事前に知っておけば安心です!
「変動金利型」と「固定金利型」の違い
変動金利型と固定金利型は、住宅ローンなどの金利タイプのことです。
変動金利型は、市場金利の変動に応じて金利が変わります。
そのため、金利が低い時期には返済額を抑えられるメリットがある一方で、金利が上昇する可能性もあります。
固定金利型は、借入期間中に金利が変わることはありません。
金利の上昇の影響を受けない代わりに、変動金利型よりも金利が高めに設定されることが多いです。
それぞれのメリット・デメリットを比較して、個人のライフプランに合わせて選択しましょう。
変動金利型 | 固定金利型 | |
メリット | ・固定金利型より金利が低い ・返済負担が抑えられる ・金利下降によって返済額が下がる | ・金利変動リスクがない ・ライフプランが立てやすい ・返済総額を抑えられる(低金利時に契約) |
デメリット | ・総返済額の確定ができない ・金利上昇によって返済額が上がる ・資金、返済計画が立てにくい | ・変動金利型よりも金利が高い ・金利下降の恩恵は受けられない ・金利タイプ変更に手数料がかかる(固定期間終了後に変動金利型に変更する場合) |
一般的に、固定金利は返済額が安定しています。
しかし変動金利よりも金利が高めに設定されているというのがデメリットでしょう。
一方、変動金利は金利が低い傾向にありますが、金利の上昇リスクがネックになります。
「変動金利型と固定金利型どちらにしたらいいかわからない」という人は、金利の変動リスクを許容できるかどうか、現在の金利水準などを考慮するといいかもしれません。
どちらを選ぶべきか迷ったときは、金融機関の窓口やファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。
リフォームローンの借入までの流れ

リフォームローンの借入までの流れは、金融機関によって多少の違いがあります。
そのため、実際に借入をする際は金融機関の公式ホームページや担当者にしっかり確認しましょう。
ここでは、参考までに借入の流れを紹介します。
1)仮審査
リフォームローンの審査には、仮審査と本審査の二段階あります。
必要書類や期間は、金融機関によって多少違いがあるため、窓口・公式サイトにて確認するようにしましょう。
①申込者情報(氏名・住所・生年月日など) ②勤務先情報(会社名・住所・資本金・在籍年数など) ③借入希望金額 ④借入期間 ⑤リフォームにかかる費用 ⑥自己資金額 …など |
金融機関によっては、仮審査がない場合や、Webサイト内で完結する場合もあります。
2)審査結果
融資審査の結果も仮審査と本審査の二段階に分かれています。
仮審査から数日〜1週間程度で結果がわかることが多いです。
また、結果は一般的にメールや郵送で通知されます。
金融機関によっては、Webサイトにて確認する場合もあるようです。
電話で結果を伝えられることは少ないようですが、金融機関によってお知らせ方法が異なるので事前に確認しておきましょう。
3)本審査
仮審査に通過したら本審査です。
仮審査で提出した情報に加え、より詳細な書類を提出します。
仮審査と同じく、金融機関によって多少の違いがあるため確認するようにしてください。
①本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード・パスポート・住民票・在留カードなど) ②収入証明書(源泉徴収票・住民税決定通知書・確定申告書・納税証明書など) ③リフォームに関する書類(工事見積書・工事請負契約書・リフォーム前後の建築図面・資金計画表など) ④不動産に関する書類(不動産登記事項証明書・固定資産税評価証明書・不動産売買契約書など) ⑤その他(通帳・銀行届出印・ローン返済予定表) …など |
上記の申込者の詳細情報から金融機関が信用や返済能力、リフォーム内容の妥当性などを審査します。
およそ1週間〜3週間で結果が出ることが多いです。
4)審査結果・契約手続き
本審査で承認されたら契約手続きになります。
審査結果は、一般的に金融機関からの電話やメールで受けます。
または、Webサイトで確認する場合もあり、事前に金融機関に確認するようにしましょう。
審査に通過してから指定された期間内に契約手続きを進めます。
こちらも金融機関によって対応方法が異なるのですが、Webサイト・郵送・窓口などで行っていることが多く、口座がない場合は窓口での手続きになりやすいです。
高齢者がリフォームローンを借りる方法

リフォームローンには、年齢制限が設けられています。
金融機関によって具体的な制限は異なりますが、申し込みができるのは70歳くらいまで、完済時期の上限が80歳くらいまでのところが多いです。
60歳でもリフォームローン申請はできますが、完済時期の上限によって返済期間を短くしたり、借入希望額を少なくしたりする必要があるかもしれません。
また、高額の借入を考えている人は、団体信用生命保険への加入を考えることが一般的です。
しかし団体信用生命保険への加入も年齢制限が設けられています。
一般的には、70歳までとされているケースが多いですが、リフォームローン商品によって異なるので、商品概要説明書などで確認するようにしてください。
リフォームローン審査で確認されるコト
申請者が高齢者の場合、審査の際に確認されることが少し異なります。
以下の点を参考に準備しておきましょう。
年齢 | 申込時の年齢完済時期の年齢 |
健康状態 | 持病や既往歴など ※団体信用生命保険への加入が条件の場合 |
担保評価 | 担保になる物件評価 ※有担保型の場合 |
年収 | 返済能力を判断 |
勤続年数 | 返済能力を判断 |
返済負担率 | 年収に対する返済額の割合 |
その他 | 過去のローン返済履歴現在返済中のローン状況など |
申込者が高齢者だからこその注意点が、年金受給です。
65歳以上になると年金が主な収入源になっている人も多く、返済能力の判断が厳しくなるかもしれません。
もし、年金受給者の場合は、判断基準や申込条件をしっかり確認しておきましょう。
基本的に審査方法や流れは、一般的なリフォームローンと変わりありませんが、有担保型か無担保型かで審査内容が違ってきます。
リバースモーゲージ
リバースモーゲージとは、自宅を担保にお金を借りられる住宅ローンです。
毎月、利息のみを支払い、契約者が亡くなったあと自宅を売却して一括返済します。
相続人が一括で返済することも可能です。
まとまった資金がない人や年金収入の人がリフォームするには、有効な方法です。
利用条件 ・満60歳以上 ・一定の収入がある ・自宅を所有している ・金融機関の審査に通過 |
ただし、自宅の価値が下落した場合、生存中であっても融資限度額が見直される可能性があります。
また契約時に契約年数が決まりますが、年数を超えた時点で借入金額を一括で返済しなければなりません。
リスクも加味したうえで検討しましょう。
住宅金融支援機構「リ・バース60」
住宅金融支援機構と提携している金融機関が提供している「リ・バース60」も高齢者が利用できる住宅ローンです。
リフォームだけではなく、住宅購入や借り換えにも利用可能。
リバースモーゲージと同じく、満60歳以上の人が対象となり、毎月利息のみの支払いや契約者が亡くなったあと自宅を売却して一括返済します。
利用条件 ・満60歳以上 ・一定の収入がある ・担保評価額の一定割合以内 ・返済負担率の条件を満たしている ・住宅金融支援機構の住宅融資保険の承認が得られている ・新耐震基準を満たしている(自宅購入の場合) ・資金使途に当てはまる(住宅に関する資金に限られる) |
住宅金融支援機構「リ・バース60」ですが、申込みは金融機関が窓口です。
そのため、金融機関によって利用条件や内容に違いがあるかもしれません。
必ず確認するようにしてください。
また、投資用物件の購入資金や店舗、事務所のリフォーム工事は対象外になります。
あくまで住宅ローンになるので、資金使途は住宅に限られます。
住宅改修費支給制度
住宅改修支給制度は、厚生労働省が支給している介護保険制度に基づいた制度です。
リフォームローン(融資)ではありませんが、リフォームに対して給付を受けられるため利用を検討してみましょう。
要支援または、要介護の認定を受けた人の住宅改修に対して、支給基準額20万円の9割、限度額18万円まで給付されます(※所得に応じて1割から3割自己負担)。
住宅改修支給制度の対象工事 ・手すりの設置 ・段差の解消 ・スロープの取り付け ・フローリングへの変更 ・開き戸から引き戸への変更 ・和式トイレから洋式トイレへの変更 ・住宅改修に付帯して必要となる住宅改修 …など |
改修工事を実施する際は、事前に地域の介護保険課に申請しましょう。
その際にはケアマネジャーが作成した書類が必要になります。
許可がおりたら、改修工事をスタート!
工事完了後に「工事完了報告書類」を提出します。
事前申請や書類を忘れないように気をつけましょう。
まとめ

リフォームローンは、住宅の改修や修繕費用を借りるためのローンのことです。
住宅ローンとは、目的・条件・金利・審査などに違いがあり、比較的リフォームローンのほうが審査がゆるいと言われています。
ただし融資を受けるには、審査を通過するための個人情報や信用、返済能力、リフォーム内容の妥当性から判断されます。
必要書類も多くなるため、事前に確認し、十分な準備期間を設けましょう。
また、高齢者になるとローンが使えなかったり、審査に通過しなかったりします。
そんなときは、リバースモーゲージ型の住宅ローンの利用や、住宅改修支給制度の利用を検討してみてください。
リフォームは高額になることも多いので、ローン(融資)とは切り離せない関係です。
個人ですべてを判断せずに、金融機関やファイナンシャルプランナー、またはリフォーム業者と相談しながら、適切な方法で契約しましょう。