【2025年】長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金や条件、申請方法を解説

住宅の省エネ性や耐震性を高めるリフォームのことを「長期優良住宅化リフォーム」といいます。
快適な住宅で長く暮らすためには必要な工事です。
しかし、リフォームは安価なものではありません。
そこで国が推奨している「長期優良住宅化リフォーム推進事業」を利用して、お得にリフォームしてみてはいかがでしょうか?
毎年更新されるのですが、2025年も継続とのことですので条件や金額など詳細を解説します。
目次
長期優良住宅化リフォーム推進事業とは?

長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、一戸建てや共同住宅に対して、対象の住宅性能向上のリフォームにかかる費用の一部を補助する制度のことです。
長期優良住宅の認定を受けるには、基準を満たす工事内容の計画書や維持保全計画の提出が必要になります。
また、対象となる条件や施工基準が設けられているためリフォーム前に確認しましょう。
対象となる条件
長期優良住宅化リフォーム推進事業の前提に「長期的に快適な状態で住み続けられる家づくり」があります。
| ・長期的に使える設備や構造居住環境の向上 ・維持に配慮された設計住宅面積に良好な広さを確保自然災害の被害防止 ・軽減に配慮した設計メンテナンス計画(維持保全計画)が適切 |
必要な施工基準
長期優良住宅化リフォームの認定には、新築住宅だけではなく、リフォームにも必要な施工基準が設けられています。
こちらも国土交通省が示している基準をまとめました。
| 省エネ | 断熱等性能等級5以上 一次エネルギー消費量等級6以上 |
| 耐震性 | 耐震等級2以上 (壁量計算または許容応力度計算で評価) |
| 劣化対策 | 劣化対策等級3 構造躯体の腐朽やシロアリ被害を抑制する措置点検・維持管理の容易性を確保 |
| バリアフリー性 | 必須工事と組み合わせて実施 三世代同居のための改修工事 |
| 居住環境 | 地区計画や景観計画、条例などと調和している |
| 住戸面積 | 1つの階で40㎡以上、延べ面積が55㎡以上 |
| 維持管理・更新 | 維持管理等級3を満たす定期点検・補修計画がある |
| 維持保全計画 | 性能基準を満たす維持保全計画の作成 |
| 災害 | 耐震等級2以上 (壁量計算または許容応力度計算で評価) |
| 可変性(共同住宅のみ) | 天井高さが2.65m以上、または居室2.40m以上を確保 |
参考元:国土交通省「令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業に関する説明資料PDF」
長期優良住宅化リフォームの補助制度は、毎年実施するとは限りません。
継続となっても内容が更新・変更されることはあるので、リフォーム前に必ず確認するようにしましょう。
2025年度|長期優良住宅化リフォーム推進事業

長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、一戸建て・共同住宅(マンションやアパートなど)に対して、性能向上のために実施する工事の費用を一部補助するという制度です。
令和7年長期優良住宅化リフォーム推進事業について、詳しく解説します。
補助金率と限度額
2025年度の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の補助率は、補助対象費用の3分の1です。
限度額は以下の通りです。
| 評価基準型 | 認定長期優良住宅型 | |
| 補助限度額 | 80万円/1戸 | 160万円/1戸 |
| 要件を満たす限度額 | 130万円/1戸 | 210万円/1戸 |
要件は4つあり、どれかを満たすことで補助金上限額が変わります。
①三世代同居対応の改修工事
②若者世帯の改修工事
③子育て世帯の改修工事
④既存住宅購入者の改修工事
最大50万円が加算されます。
補助金対象の条件
補助金対象の条件は以下の通りです。
| ・建物状況調査(インスペクション)を行う ・維持保全計画の作成を行う ・リフォームの履歴を作成する ・1階の床面積が40㎡以上かつ、延べ床面積が55㎡以上であること(階段部分を除く) ・住宅の性能向上、多世帯対応、防災対策のいずれかの工事を行う ・リフォーム後の住宅の性能が一定の基準を満たす (※必須:劣化対策、耐震性(新耐震基準適合等)、省エネルギー対策の基準) |
必須工事とあわせて行う場合、「子育てしやすい環境に変更する工事」や「同居のための住宅改修」なども補助対象となる場合があります。
補助金対象のリフォーム
補助金が対象となるリフォームについてまとめました。
| 対象工事 | 工事内容 |
| 特定性能向上工事 | 【必須工事】 ・劣化対策 ・耐震性(新耐震基準適合等) ・省エネルギー対策 【任意】 ・維持管理 ・更新の容易性 ・高齢者等対策(共同住宅のみ) ・可変性(共同住宅のみ) |
| 三世代同居対応改修工事に要する費用 | キッチン・浴室・トイレ・玄関の増設に係る工事 ※いずれか2つ以上が複数箇所ある |
| その他性能向上工事 ※特定性能向上工事の2分の1が限度 | ・インスペクションで指摘を受けた箇所の改修工事(外壁、屋根の改修工事等) ・バリアフリー工事 ・環境負荷の低い設備への改修 ・テレワーク環境整備改修 ・高齢期に備えた住まいへの改修 |
| 子育て世帯向け改修工事に要する費用 ※ 若者世帯・子育て世帯のみ対象 | 子育て世帯向け改修工事(子育てしやすい環境整備の支援) |
| 防災性・レジリエンス性の向上改修工事に要する費用 | 自然災害に対応するための工事 |
| インスペクション等に要する費用 | ・インスペクション費用 ・リフォーム履歴作成費用 ・維持保全計画作成費用 ・リフォーム瑕疵保険の保険料 |
設備交換・間取り変更工事・内装工事・意匠上の改修工事は、補助金対象外になります。
申請方法と期間
補助金は、所定の手続きを行わなければ交付(振込)されません。
また申請は、リフォーム工事の事業者(施工業者)が行うので施主は、事業登録している施工業者とリフォーム工事の請負契約を結び、申請代行してもらう形になります。
| <申請の流れ> ①事業者登録している施工業者とリフォーム工事の請負契約を締結 ※登録前の契約は補助対象外 ②建物状況調査(インスペクション)を実施/維持保全計画の作成 ③工事着手前に、施工業者が住宅登録 ※登録前の工事着手は補助対象外 ④補助金交付申請/申請書類の提出 ⑤補助金交付決定 ⑥リフォーム工事の実施/リフォーム履歴を作成 ⑦工事完了/引渡し/工事費用支払い ⑧完了報告/交付金額の確定 ⑨補助金の振り込み |
補助金振り込みまでに必要なことは、ほとんど施工事業者が行うため、事前に「長期優良住宅化リフォーム」を利用したいことは伝えておきましょう。
| <2025年度の申請受付期間> 【Ⅰ期】 ◆認定長期優良住宅型 <戸建住宅> 令和7年5月30日(金)~令和7年9月30日 <共同住宅> 令和7年6月13日(金)~令和7年9月30日 ◆評価基準型 <戸建住宅> 令和7年6月13日(金)~令和7年9月30日 <共同住宅> 令和7年6月27日(金)~令和7年9月30日 【Ⅱ期】 令和7年10月6日(月)~令和7年11月14日 認定長期優良住宅型・評価基準型の区別はありません。 【完了実績報告期間】 令和7年7月1日 ~令和8年2月20日 引用元:令和7年度長期優良住宅化リフォーム推奨事業 |
長期優良住宅化リフォームするメリット

快適な暮らしのために、長期優良住宅化リフォームをする人がほとんどです。
しかし、暮らし以外にもメリットがあります。
それぞれ解説します。
長期的に安心して暮らせる
長期優良住宅は、国が示す安全性・高品質な設備基準を満たし、長期的に暮らせる住宅として認定したものです。
そのため、国が用意した補助金制度があり、推奨されています。
安全な設備の中には、耐震性や断熱性などの性能の高さが含まれており、安心して快適に過ごせる証明とも言えます。
また、リフォーム前に建物状況調査(インスペクション)を実施し、修繕・劣化箇所を把握した上で工事を進めるので、不安がない状態で住めるのはメリットですね。
所得税・固定資産税の軽減が受けられる
長期優良住宅化リフォームをした際に、条件を満たすことで所得税の控除・固定資産税の軽減(リフォーム減税制度)が受けられる場合があります。
所得税の控除を受けるには、長期優良住宅化リフォームと一緒に耐震、または省エネリフォームを行う必要があります。
以下、対象工事や限度額についてまとめました。
| 対象工事 | 工事限度額 | 控除限度額 |
| 耐震・省エネ・耐久性3つのリフォーム | 500万円/600万円 | 50万円/60万円 |
| 耐震or省エネ・耐久性2つのリフォーム | 250万円/350万円 | 25万円/35万円 |
太陽光発電設備を設置する場合は、限度額がアップします。
一方、固定資産税の減額は省エネ工事と併せて長期優良住宅の認定を受ける対象となります。
長期優良住宅の認定には、インスペクション(住宅診断)の実施は必要になりますが、費用は補助金対象です。
| 工事内容 | 省エネ改修 |
| 減額割合 | 固定資産税の3分の1 |
| 適用条件 | ・増改築による長期優良住宅の認定を受けている ・床面積が登記簿表示上で50㎡以上280㎡以下 ・店舗等併用家屋の場合は、床面積の2分の1以上が居住用 ・改修工事を令和8年3月31日までに行っている |
| 適用条件 <耐震改修工事> | ・昭和57年1月1日以前から所在する家屋 ・現行の耐震基準に適合する耐震改修 ・耐震改修工事費が、50万円(税込)を超えている |
| 適用条件 <省エネ改修工事> | ・平成26年4月1日以前から所在する家屋 ・当該家屋が賃貸住宅ではない ・省エネ改修工事費から補助金等を差し引いた額が、60万円(税込)を超えている ※工事個別の金額要件があるため、費用は要確認 |
国土交通省:長期優良住宅化改修に係る固定資産税の減額措置PDF
リフォーム減税の適用期間は、「所得税は2025年12月31日まで」「固定資産税は2026年3月まで」です。
リフォームを行った本人が、確定申告または市区町村への申請となるのでお忘れなく!
減税制度の利用を視野に入れている場合は、建築士が発行できる「増改築工事等証明書」が必要になるので、業者を選ぶ際は建築士のスタッフがいる施工会社を選びましょう。
住宅の価値を証明しやすい
長期優良住宅は、その認定基準を満たした高品質な住宅であるため、将来的に売却する際に資産価値を証明しやすく、有利に働きやすいというメリットがあります。
もちろん、長期的に住み続けることを目的としてリフォームを実施しますが、環境の変化や予想外のことから引っ越しすることになるかもしれません。
そんなとき、長期優良住宅の認定を受けていれば、優良な建物として評価されやすく、早めの売却に期待できるでしょう。
「国が定めた高い基準をクリアしている」「市場での信頼度が高い」というのは、購入側も安心して住むことができるのです。
長期優良住宅化リフォームするデメリット

長期優良住宅についてのデメリットは、ありません。
住む上で、快適さが保証されているからです。
では、どのようなデメリットを感じられるのか解説します。
時間や費用がかかる
長期優良住宅の認定手続きの段階で、時間と費用がかかるのがデメリットです。
申請は、施工業者が行ってくれますが着工前に、数々の打ち合わせ時間と書類の準備があります。
大まかには以下の通りです。
| ①事業者登録している施工業者とリフォーム工事の請負契約を締結 ②建物状況調査(インスペクション)を実施 ③リフォーム会社と打ち合わせ ④維持保全計画・リフォーム計画書の作成 ⑤長期優良住宅の確認証を交付 ⑥必要書類の準備 ⑦自治体へ確認証と書類を提出 ⑧長期優良住宅認定の申請 ⑨長期優良住宅の認定証が交付 |
ここまでの手順を踏んで、リフォーム開始です。
完成時期に余裕を持って申請手続きをしましょう。
また、お住まいによっては、自治体の認定時に費用がかかることがあります。
書類作成や準備、手続きなどの費用を請求するリフォーム会社もあるので、あらかじめ把握しておきましょう。
定期的なメンテナンスが必要
長期優良住宅の認定を受けた住宅は、認定後も維持保全計画に基づいて定期的なメンテナンスが義務付けられています。
10年以内での定期点検、点検結果に基づいた調査・修繕・改良、そしてこれらの記録の保存が必要です。
また、結果によっては修繕費がその都度発生します。
ただし、これらを怠ると改善命令や認定の取り消し、場合によっては罰金が科せられることもあるので注意してください。
快適な住まいを継続するためには、メンテナンスは不可欠です。
その費用も見越して、長期優良住宅化リフォームを検討しましょう。
リフォーム費用が高額になることも
長期優良住宅化リフォームは、一般的なリフォームと比べて高額になりやすいです。
これは、設備を新しくするだけではなく、国の定める高い性能基準を満たすための工事が必要になるためです。
建物の築年数や老朽化具合によっては、施す改修工事の内容も変わるでしょう。
とくに、耐震基準をあわせる必要がある場合は、工事規模が大きくなるので費用が高額になるかもしれません。
工事内容は、インスペクションの結果に基づいて決められますが、まずはリフォーム会社に現地調査してもらい費用や工事内容の見積もりを出してもらうことをおすすめします。
事業者登録している施工業者を探す必要がある
長期優良住宅リフォームの申請には、事業者登録している施工業者が必要です。
まずは、事業者登録しているリフォーム会社を探しましょう。
また事業者登録だけではなく、優良なリフォーム会社を見つけることも重要です。
長期優良住宅化リフォームは内容によっては難しいため、経験の浅い施工業者や知識がない人が実施してしまうと欠陥住宅になってしまうリスクがあります。
インターネットやポータルサイトで検索したり、リフォーム会社の施工実績を確認したり、相見積もりを取ったりしましょう。
施工経験や事例の有無、見積もりのリフォームプランの提示なども参考になります。
施工やメンテナンス管理を安心して任せられる業者を選ぶのがポイントです!
まとめ

「長期優良住宅化リフォーム推進事業」とは、住宅性能向上のリフォームにかかる費用の一部を補助する制度のことです。
国の定める高い性能基準を満たす住宅づくりなので、長期的に安心して暮らせたり、住宅の価値を証明できたりと現在にも未来にも有効なリフォームです。
その一方で、費用や時間などはかかりますが、設備を新しくするだけのリフォームとは違い、基準が設けられたリフォームのため仕方ない側面もあります。
その分、条件を満たせば補助金を利用したり、所得税の控除・固定資産税の減額を受けたりすることもできるのでお得にリフォームできるかもしれません。
家族の今とこれからを見据えた、長期優良住宅の認定をぜひこの機会にご検討ください。




